3ヵ月ほど前のことです。中津川市の坂本地区で避難勧告が出ました。4769世帯、1万2871人が対象です。台風3号の影響によるものですが、対象者はもちろんのこと、それ以外の方も近隣住民の1人として強い不安に襲われたのではないでしょうか。

勧告後から解除までは3時間少々かかりました。「勧告」ですので、さほどパニックにはなりませんでしたが、これが「避難指示(緊急)」だったら大変なことになっていたことは容易に想像できます。なにせ1万3000人が避難場所へ一斉に移動することになりますから。

この地域は災害とりわけ大雨・洪水という水災がほとんど発生しません。毎年のように台風が上陸し、その爪痕からの復旧を強いられる地区の方から見れば、本当に羨ましい場所です。

が、その分危機感は乏しく、水災の恐ろしさを軽視する傾向にあります。直接的な水災リスクは低くても、それに伴う土砂災害リスクは決して低くありません。昔は年に1、2度の停電が必ずありましたから、マッチとロウソク、そして懐中電灯が手の届くところに備え付けられていた記憶があります。今、そんな家は少数でしょう。『とりあえず携帯電話さえあれば、照明代わりになるから大丈夫』が本音だと思いますが、災害時には安否を気遣う電話のやりとりで、電池がなくなるのも早いです。そもそも普段よりつながりにくくなりやすいですしね。

天災はどこにいても避けられません。しかしその後の人災は軽くすることができます。日頃の準備が本当に大切です。